きみの心臓を買ってよかった

今週のお題「買ってよかった2022」

 

 さて、問題です。

君のような可愛い弟を、世界でいちばん愛している、春の美少女はいったいだれでしょう?  そう、わたしです。

 キミとの出会いは、あの冬の戦場での熱烈な死闘ではなく、

わたしの経営する喫茶店「春の店」にコーヒーをすすりにいらっしゃた時ですね。

 かれが、わたしの店で、はじめに注文をしたのは春の季節限定のカプチーノでなく、

「わたし」を注文したのです。

 「あなたが欲しい、君がいれば他に何もいらない、わたしの命はあなたのためだけにあります。」

 ふふ、私は驚きませんし、照れて言葉を失ったりもしない人です。

       なぜって、それは私が桜のように美しい美少女なのですから。

でも、かれの言葉に、頬から落ちる涙が止まってくれません。飲んでもいいですよ。

 

「今ここに、あなたにぼくの心臓を与えます、代わりにぼくの姉になってくれませんか?、あなたの世界を終末にはさせない。

 この喫茶店を閉店にしてほしくないんです。」

「いいよ、きみの心臓をわたしが買います。生きるつもりも、執着もなかったけど、

わたしは君に出会えて、うれしいから、君の姉として生きてみるよ。」

 

 おはよう~、はるか。まずは、美少女のわたしがきみにラテアートを教えます。

カフェの上に、絵を描いて遊ぶのよ。愛の芸術なのです。

「おはよう、姉さん。姉さんは美しいけど、絵のセンスは微妙だよ?」

 

ちょいちょい、弟よ。絵とは愛の心さえあれば成立するものなのです。

それに、ひきこもりのわたしに絵の才能なんてないよ~、

茶店の店長は、可愛ければなれるのです。絵の才能がなくとも、ひきこもりでも、

わたしはコーヒーを入れます。

「姉さんの創るコーヒには、愛が溢れているもんね。」