新世界より 上  小説的表現

危惧する。 

人の記憶の欠落部分というのは捏造で補われる仕組みになっているらしく、共通の体験が、しばしば、お互いに矛盾する記憶になっている。自分の都合のいいように記憶が書き換えられているのにちがいない。

仮死状態 

最初のフラグで使える。

もし真理愛がこの世に生まれてこなかったらとしたら、結果的にあれほど大勢の人が命をおとすこともなかったはずだから・・・・。

 

慈愛のこもった   

 

面従服背 表面は従っているが、腹の中ではちがうことを考えている

 

潜在意識に深く刷り込まれる

 

業魔の話

今から八十年ほど前のお話。村に一人の少年が住んでいた。とても聡明な子供だったが、一つの欠点があった。その欠点は、成長するにつれて、しだいに誰の目にもあきらかなものになってきた。少年は、自らの頭の良さを誇るあまり、あらゆるものを小馬鹿にしていたのだ。学校や村の大人たちから教わることを、表面的にはよく聞くふりをしていたが。大切な教訓はけっして彼の心には届いていなかった。少年は、大人たちの愚かさを笑い、此の世の倫理すら冷淡するようになり始めた。傲慢は業の種を蒔く。

少年は、しだいに友達の輪からも遠ざかるようになった。孤独だけが彼の友だちになり、話し相手となった。孤独は業の苗床になる。独りぼっちになった少年は、思索に耽ることが多くなった。そのうち、考えるべきではないことを考え、疑ってはならないものを疑うようになった。悪い思考は、とどめなく業を蔓延らせていく。そして、少年は、知らず知らずのうちに業を積み重ね、しだいに人間ではないもの、業魔へと変わっていったのだ。いつしか、村は業魔を恐れて空っぽになってしまった。業魔は森の中に住んでいたが、いつのまにか、森の中からも、生き物という生き物が姿を消していた。業魔が歩くと、まわりにあった植物は。奇怪にねじれ、想像もつかないような形に変わり、生き腐れていった。業魔が触れた食べ物は、たちまち致命的な毒に変じた。業魔は、異様な死の森をさまよい歩いた。業魔はようやく、自分がこの世に存在してはいけないことに気がついた。業魔は、暗い森を抜けていった。すると、目の前が開け、きらきらとした輝きに包まれた。山奥にある、深い湖にたどり着いたのだ。業魔は、湖の中に入っていった。この清浄な水が、すべての業を洗い流してくれるのではないかと思いながら。だが、業魔の周囲の水は、急にどす黒く変色していった。湖の水までもが、毒に変わりつつあるのだ。業魔は、この世に存在してはいけない。そのことを悟って、業魔は、ひっそりと湖の底に姿を消したのだった。

 

言い伝えや、物語は、子供たちに教訓や固定観念を植え付け、

支配するためにあるんだ。