わたしかい、私は深海の影に住まう魔女よ。わたしにはね、お金が必要なのよ。
逃走生活のための活動資金が足りないのよ。ところで、君の仲間を根絶やしにしたけれど、お金は回収したかしら、ええ、いいわ。一千万あれば美しい赤ワインも買えてしまう、でもね、そうじゃないのよ。わたしはね、正しい手段で、正規に稼いだ金では意味がないのよ。奪ったものでなければ、貨幣の価値は10分の一にもなるの。だって、人間の悪意がないと金色に光るものも、暗黒の闇に沈んでしまう。
わたしは逃げているけど、では逃げない奴は、よく訓練された家畜だよ。力こそすべての都市にいるのだから、金は奪われて死ぬのは当然、責任放棄といえる。弱いものは、生きていること自体が甘えだ。私の経験上、世界を呪ったり、恨んだりするやつは大抵、友達のいない人間だ、わたしは友達はいないけど、独りではないわ。
